2024/05/13 カテゴリー:コラム
by himawari-staff
厚生労働省は、「労働者に対する在宅勤務手当が、在宅勤務に必要な通信費などの実費を弁償するものとして支給される場合は労働基準法上の賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金には算入しない」として、都道府県労働局長に通達しました。
通達では、企業が支給する在宅勤務手当について、
・労働基準法上の賃金に該当するときは、割増賃金の算定基礎となる
・事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給していると整理される場合には、基礎には含まれない
としています。
■実費弁償分に当たり得る費用
事務用品の購入費用、通信費、電気料金、レンタルオフィスの利用料金など
労働者が実際に負担した費用のうち、業務に使用した金額が特定され、その実費を精算するものであることが外形上明確である必要があります。
また、これらが認められるためには、就業規則などで実費弁償分の計算方法を明示する必要があるとしていて、計算方法は、在宅での勤務時間を踏まえた合理的・客観的なものでなければなりません。
毎月一定額を支給し、従業員に支出がなかった場合でも返還しなくて良いような手当は、実費弁償に当たらないとしています。
■実費弁償分として認められるための3つの計算方法
① 国税庁がまとめた「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」が示した方法
例)ある月におけるインターネット接続通信料の実費負担分については、労働者が支払った同月の基本使用料・通信料に、同月の暦日数に占める在宅勤務日数の割合を乗じたうえで、さらに2分の1を乗じて算出する
② 同FAQの方法を一部簡略化した方法
例)通信費と電気料金について、手当の支給対象となる労働者ごとに、手当支給月からみて直近の過去複数月(3カ月程度)の「各料金の金額」「同期間の暦日数」「同期間の在宅勤務日数」に着目する。そのうえで、各料金の1カ月当たりの実費分を算出する
③ 実費の一部を補足するものとして、支給額の単価をあらかじめ定める方法
例)企業内の「一定数」の労働者を選び、それぞれ1日当たりの実費弁償となる単価を計算したうえで、単価が最も低かった労働者の金額を、その企業の在宅勤務手当の1日当たりの単価として定める
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コロナの流行で、在宅やテレワークを導入する会社が増えた事により、「在宅勤務手当」のような手当を支給する会社が増えました。
この「在宅勤務手当」が割増賃金の基礎となる賃金に含まれるかどうかが今回の通達内容です。
■「割増賃⾦の基礎となる賃⾦」から除外できるもの
① 家族⼿当 ② 通勤⼿当 ③ 別居⼿当 ④ ⼦⼥教育⼿当 ⑤ 住宅⼿当 ⑥ 臨時に⽀払われた賃⾦ ⑦ 1か⽉を超える期間ごとに⽀払われる賃金
①〜⑦は、例⽰ではなく、限定的にされているものです。これらに該当しない賃⾦は全て算⼊しなければなりませんが、通達の内容に当てはまれば、「在宅勤務手当」は「割増賃⾦の基礎となる賃⾦」から除外していいよというお話しでした。
「割増賃⾦の基礎となる賃⾦」から除外できるもの以外は当然除外出来ないので、残業代の計算が間違っていないか、この機会にもう一度見直しておくと安心ですね。