2023/12/11 カテゴリー:コラム
by himawari-staff
就業規則に基づいての人事異動や転勤などの内示に対して、「就業規則を読んだことがない」と言われた場合、使用者側は人事異動や転勤などを命じられないのでしょうか。
使用者は、労基法に基づき就業規則等を周知する義務を負っています。
労基法の周知は、以下の3つの方法に限られています。
①常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
②書面を労働者に交付すること。
③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に 労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
また労働契約法7条は、「労働契約において労働条件を詳細に定めずに労働者が就職した場合でも、就業規則で定める労働条件によって労働契約の内容を補充し、労働契約の内容を確定する」としています。
更に令和6年4月からは労働条件の明示に関するルールが変更され、労働契約関係の明確化等に関する行政解釈で、周知の要件に追加があります。
具体的には、使用者は、就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、就業規則を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要があるとしています。
上記の「就業規則を読んだことがない」と言われた場合は、合理的な内容の就業規則を周知していれば足り、本人が実際に読んだかどうかは関係がありません。ただ労働者への周知や、いつでも確認出来る状態が徹底してあることが前提となります。