2023/09/25 カテゴリー:コラム
by himawari-staff
地域別最低賃金は、厚生労働省の中央最低賃金審議会で目安額が発表された後に、各都道府県ごとに決められ、公示が行われ引上げ額と発効日が決まり、順次適用されます。厚生労働省の特設サイトで各都道府県の最低賃金情報がまとまって掲載されている内容を、当コラムで3回に分けて案内いたします。
【第3回目】
◆最低賃金のチェック方法は?
日給や週給、月給制などの場合は、対象賃金額を時間額に換算し、適用されて最低賃金額と比較します。
①月給制で支給されるAさんの賃金は?
○○県で働く労働者Aさんは、月給で、基本給が月150,000円、職務手当が月30,000円、通勤手当が月5,000円支給されています。また、この他残業や休日出勤があれば時間外手当、休日手当が支給されます。M月は、時間外手当が35,000円支給され、合計が220,000円となりました。
なお、Aさんの会社は、年間所定労働日数は250日、1日の所定労働時間は8時間で、○○県最低賃金は時間額1,000円です。
Aさんのこの賃金が最低賃金を上回っているかどうかは次のように調べます。
(1)Aさんに支給された賃金から、最低賃金の対象とならない賃金の通勤手当、時間外手当を除きます。
220,000円 −(5,000円+35,000円)= 180,000円
(2)この金額を時間額に換算し、最低賃金額と比較すると、
(180,000円 × 12か月)÷(250日 × 8時間)= 1,080円 > 1,000円 となり、最低賃金額以上となります。
②日給制と月給制の組み合わせで支給されるBさんの場合
△△県で働く労働者Bさんは、基本給が日給制で、1日あたり6,000円、各種手当が月給制で、職務手当が月25,000円、通勤手当が月5,000円支給されています。M月は、20日働き、合計が150,000円となりました。なお、Bさんの会社は、1日の所定労働時間は8時間で、△△県最低賃金は時間額950円です。
Bさんのこの賃金が最低賃金を上回っているかどうかは次のように調べます。
(1)Bさんに支給された手当から、最低賃金の対象とならない賃金の通勤手当を除きます。
30,000円−5,000円=25,000円
(2)基本給(日給制)と手当(月給制)のそれぞれを時間額に換算し、合計すると、
基本給の時間換算額 6,000円÷8時間/日=750円/時間
手当の時間換算額(25,000円 × 12か月)÷(250日 × 8時間)=150円/時間
合計の時間換算額 750円+150円=900円<950円 となり、最低賃金額を下回ることになります。
③すべて歩合給(出来高払制)で支給されるCさんの賃金は?
○○県のタクシー会社で働く労働者Cさんは、あるM月の総支給額が177,450円であり、そのうち、歩合給が168,000円、時間外割増賃金が6,300円、深夜割増賃金が3,150円となっていました。なお、Cさんの会社の1年間における1箇月平均所定労働時間は月170時間、M月の時間外労働は30時間、深夜労働が15時間でした。
○○県の最低賃金は時間額950円です。
Cさんのこの賃金が最低賃金を上回っているかどうかは次のように調べます。
なお、歩合給とは別に時間外(30時間分)及び深夜(15時間分)の割増賃金の支払(上記図における②に相当する部分)が必要ですが、時間当たりの賃金額の算出にあたっては、これら割増賃金は算入しません。
168,000円÷200時間=840円 この金額(840円)が換算された時間額に当たります。
④固定給と歩合給(出来高払制)が併給されるDさんの賃金は?
△△県のタクシー会社で働く労働者Dさんは、あるM月の総支給額が221,813円であり、そのうち、固定給が136,000円(ただし、精皆勤手当、通勤手当及び家族手当を除く。)、歩合給が50,000円、固定給に対する時間外割増賃金が30,000円、固定給に対する深夜割増賃金が3,000円、歩合給に対する時間外割増賃金が1,875円、歩合給に対する深夜割増賃金が938円となっていました。なお、Cさんの会社の1年間における1箇月平均所定労働時間は月170時間で、M月の時間外労働は30時間、深夜労働が15時間でした。
△△県の最低賃金は時間額950円です。
Dさんのこの賃金が最低賃金を上回っているかどうかは次のように調べます。
固定給部分: 136,000円÷170時間=800円
歩合給部分: 50,000円÷200時間=250円
固定給と歩合給の合算額:1,050円
800円 + 250円 = 1,050円>950円 となり、最低賃金額以上となります。
■最低賃金に関する特設サイトはこちら!
http://m.mkmail.jp/l/i/nk/8jszkne54fp5