2023/08/28 カテゴリー:コラム
by himawari-staff
副業・兼業を許可したとして、労働時間の通算によって割増賃金が必要になるケースがあるということは、時間外・休日労働(36)協定の時間数も通算する必要があるのでしょうか。時間関係は自己申告によらざるを得ませんが、どのように考えればいいのでしょうか。
労基法では、「事業場を異にする場合も、労働時間は通算」します(38条)。割増賃金の支払義務について、労働基準法上の義務を負うのは、「当該労働者を使用することにより、法定労働時間を超えて当該労働者を労働させるに至った(すなわち、それぞれの法定外労働時間を発生させた)使用者」と解されています(副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&A)。一般的には、「通算により法定労働時間を超えることとなる所定労働時間を定めた労働契約を『時間的に後から』締結した使用者」が、割増賃金を支払う義務を負います。
一方で、36協定の考え方は異なります。各々の使用者は、通算して時間外労働となる時間のうち、自らの事業場において労働させる時間については、自らの事業場における36協定の延長時間の範囲内とする必要があります。ガイドラインは「通算されない規定」として、36協定を挙げています。個々の事業場における36協定の内容を規制するものであり、それぞれの事業場における延長時間を定めることとなるとしています。
時間外労働時間数に関して、「通算される規定」もあります。時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件(法36条6項2号および3号)については、労働者個人の実労働時間に着目し、当該個人を使用することから、通算するとしています。副業・兼業でいわゆる「管理モデル」を用いる際も、単月100時間未満、複数月平均80時間以内で各々の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定することを前提にしています。
【労働新聞:実務相談室より】
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副業・兼業については、就業規則で禁止または許可制とする会社もあるかと思います。
認める場合も許可制とする場合も、2つの会社の労働時間が通算されることまで考えて認めたり許可している会社はどのくらいあるのでしょうか?
基本的には職員の自己申告制になりますので、もう一方の会社の労働時間を正確に把握するのは難しいような気がします。
またフルタイムの正社員の場合は長時間労働に繋がる可能性もありますので、認める場合も許可制にする場合も慎重な判断が必要かと思います。