2020/10/19 カテゴリー:コラム
by himawari-staff
「同一労働同一賃金」を定めた働き方改革関連法が4月に一部で施行されて以降、初の最高裁判決が10月13日に出ました。
①大阪医科薬科大学の元アルバイト職員の女性が、正規の職員に支給されるボーナスを貰えないのは不合理な格差だとして大学側にボーナスの支給を求めた裁判
②東京メトロの売店で働いていた元契約社員の女性らが、正社員に支給される退職金を貰えないのは不合理な格差だとしてメトロコマースに退職金の支給を求めた裁判
それぞれ2審ではボーナスや退職金の支給を一部認めていましたが、最高裁はどちらも2審の判決を覆し、正規の職員との間には人事異動の可能性や職務の内容に差があると指摘し「不合理と認められない」と判断、いずれも労働者側の逆転敗訴となりました。
①の賞与を求めた大阪医科薬科大の元アルバイト職員の女性は約2年間フルタイムで勤務、②の退職金を求めた東京メトロ子会社メトロコマースの元契約社員の女性は駅売店で約10年間勤務との事ですので、勤務時間は勤務年数だけを見ると訴訟を起こしたお気持ちはわからなくはないです。
でも最高裁は、①の女性の業務は「相当に軽易だった」、②の女性は売店業務に従事した正社員と2人を比較して、業務内容はおおむね共通するが、正社員は配置転換があるなど一定の相違があるとして、「不支給は不合理とまでは評価できない」と結論付けたのです。
一方で10月15日には、日本郵便の契約社員らが扶養手当など一定の手当の支給や夏期休暇など一定の休暇の付与の有無などに関し、正社員との待遇格差の是正を求めた3件の訴訟について、争点の扶養手当、年末年始勤務手当、夏季・冬季休暇、有給の病気休暇、年始期間の祝日給の5項目の格差について、最高裁はそのいずれについても「格差は不合理と認められる」と①②とは逆の判決を出しました。
今後このような裁判や判決は増えていくと思います。
会社は会社、正社員は正社員、契約社員・アルバイトは契約社員・アルバイトの、それぞれの意見があると思いますので難しいところです。