2025/10/14 カテゴリー:コラム
by himawari-staff
◆Vol.75 理念に基づく人材育成計画の作成
人材育成計画を立てる際に重要なのは、経営理念を軸に据えることです。単にスキル習得や数値目標の達成にとどめず、理念に沿った成長の方向性を描くことで、組織と社員のベクトルが一致しやすくなります。
まず取り組むべきは、理念を具体的な能力要件に落とし込むことです。例えば「顧客第一」を掲げる企業なら、必要な能力は「顧客の声を引き出すヒアリング力」や「誠実な対応力」といった形に変換できます。理念を基準に育成のゴールを設定することで、研修やOJTの内容にも一貫性が生まれます。
次に、社員のキャリア段階に応じて成長のステップを設計することが大切です。新人には理念を理解し行動に結びつける習慣を、中堅には理念を周囲に伝え浸透させる力を、管理職には理念を基準に意思決定を行う力を育むといった具合に、段階ごとに役割を明確化します。
さらに、育成計画は評価制度と連動させることが欠かせません。評価で得られた社員の強みや課題を育成計画に反映させることで、個々に合わせた具体的な成長プランが描けます。ある企業では、評価面談で理念を基にした行動の振り返りを行い、それを次期の育成計画に組み込む仕組みを導入しました。その結果、理念が単なる標語ではなく、育成の軸として生きるようになったのです。
経営理念に基づく人材育成計画は、組織と社員が同じ方向に成長するための道しるべです。理念を土台とした育成こそが、持続的に強い組織をつくる原動力となります。