2025/10/30 カテゴリー:コラム
by himawari-staff
◆Vol.91 理念を根づかせる経営トップの役割
経営理念を本当に組織に根づかせるには、経営トップの姿勢が決定的な影響を与えます。どれほど立派な理念を掲げても、トップがそれを体現しなければ、社員にとって理念は「掛け声」に過ぎません。逆にトップが理念を語り、行動で示せば、理念は組織の隅々まで浸透していきます。
まず重要なのは、トップ自らが理念を繰り返し発信することです。経営方針や施策を発表する場で「この判断は理念に基づいている」と語れば、社員は理念が実際の意思決定に生きていることを理解できます。理念が現実とつながることで、社員の信頼は大きく高まります。
次に、トップが日常の行動で理念を体現することも欠かせません。例えば「顧客第一」を掲げながら顧客の声を軽視すれば、理念は形骸化します。反対に、トップ自ら顧客対応に関わり、その姿を社員に見せることで、理念は生きた模範として伝わります。
また、トップは理念を「称賛の基準」として活用する役割もあります。社員表彰や社内イベントで、理念に沿った行動を取り上げて称えることで、組織全体に理念を重んじる空気を広げられます。ある企業では、社長自らが理念実践者を紹介する場を設けた結果、社員の行動が大きく変化しました。
経営トップの言葉と行動が一致しているとき、理念は単なる標語ではなく、組織の文化として根づきます。トップが理念の最も力強い体現者となることこそ、持続的に強い組織を築く原動力なのです。